ひとり旅にでるまで

夏季休暇を終え、心にぽっかり穴が開いて

仕事に身が入らない日々を過ごしていた。

何か刺激がほしい。

しばらくもやもやした日々を過ごしていたとき、

何がしたいか自分に聞いてみた。

 

一人旅がしてみたい。

 

学生時代は飛行機が嫌いで、

海外旅行に行ったのは

卒業旅行だけだった。

昔は留学にも憧れていたのに、

なんの行動も起こさず、

時間があった学生時代に色々な理由をつけて

外に飛び出そうとはしなかった。

 

社会人になってからは一週間まるまる休んで

毎年のように海外旅行にでかける友人を見ては、

うらやましいと思いつつも、

休みが取れないからと

海外旅行に行くことはあきらめていた。

お土産話を聞きながら、

もやもやとした気持ちになる。

本当は自分がどうしたいか

わかっているはずなのに、

自分の気持ちをなだめ、

見ないようにしていた。

 

数年前、シルバーウィークの連休が

長くとれることになった。

今年こそは絶対に海外旅行に行きたい。

思い切って中欧の周遊ツアーを

一人で申し込んでみることにした。

 

ツアーとはいえ現地の自由行動で

無事に過ごせるのだろうかとか、

そもそも長距離の移動に耐えられるのかとか、

不安ばかりで出発前は体調もすぐれなかった。

出国手続きを済ませた空港で家族に電話しながら

泣いてしまったのを今でも覚えている。

今思えばたった7日間だったのだけど、

異国の地に7日間も行くことは

久しぶりだったので、

私にとっては未知すぎて

不安ばかりが膨らんだ。

 

でもあの時チャレンジをしてくれたおかげで、

私の世界はぐっと広くなった。

 

中欧のツアーが楽しくて、

それからは休暇を利用して

ちょこちょこと海外旅行に出かけることになった。

旅行前にはインスタで現地の情報を

調べるのが習慣。

インスタの素敵な写真を見ながら、

自由気ままに一人旅を楽しんでいる人をみては、

うらやましいと思うようになっていた。

 

いつか一人旅がしてみたい。

現地の電車やバスを乗りながら、

暮らすように旅がしたい。

 

そんな新しい願望を抱くようになっていた。

 

そしてくすぶっていた夏の終わり、

今しかない一人旅に出よう、と決心した。

思い立ったが吉日、日程と行き先の検討に

明け暮れる日々が始まった。